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アクティブなのに人一倍繊細?最近言われるHSS型HSPとは?

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あなたの身の回りにはいないだろうか。とてもアクティブに動き回っているのに、なぜか急に「できない」と言い体調不良で会社を休んでしまう人が。もし、そんな人がいたら、その人はHSS型HSPと言われる気質の人かもしれない。

最近少しずつ認知されはじめてきたHSPは、Highly Sensitive Personの略で、いわゆる「人一倍繊細な人」のことだ。HSPが同僚や部下にいた場合、どう向き合えばいいのか。自らもHSS型HSP当事者であり、キャリアコンサルタントのみさきじゅり氏に話を聞いた。

当事者のみさきじゅりさんが語る経営者に知ってほしいHSPの特徴と向き合い方

経営者・人事部の方に知ってほしい HSS型HSPの方との向き合い方

―ワークライフバランスが浸透し、個人が尊重される世の中になりつつある現在だからこそなのかもしれませんが、一倍繊細な気質を持った人のことをHSPという言葉で表現するようになりました。どういった人のことなのでしょうか?

HSPは人の言動に動揺しやすい傾向を持ち、周囲の音や光、匂いなどに過敏な気質をもった人のことを言います。この世の中が「生きにくい」なと感じていたら、それは一つのサインかもしれません。

 

―諸説あると思われますが、HSPは何人くらいいると言われているのでしょうか?

 

HSPの提唱者エレイン・アーロン博士の調査では、程度の差は大小ありますが、人口の15~30%くらいいるようです。国とか文化によりますが、5人に1人はいると言われています。日本では学校教育でみんな同じように育てられるので、同じようにできない人って目立っちゃうんですよ。なので、諸外国と比べると日本人はやや多いかもしれないですね。

 

―そんなにいるとは驚きです!どの会社の中にも何人かはいるっていうことですよね。であれば、経営者の方もHSS型HSPやHSPの方ときちんと向き合い方を知っておく必要がありそうです。

 

そうですね。たとえば、仕事で指示するときに、根拠を示してあげることが大事です。やたら「やれ」って言われると、「なんでやらなきゃいけないんだろう」と考え始めてしまって業務が止まってしまうので。根拠はネガティブでもポジティブでもどちらでもいいのですが、筋の通った理由を伝えると本人も納得して指示通りにするので。

HSPの方は、いったん「あ、この人私のことわかってくれる」と気づくと、その人に対して絶大な信頼を寄せるので、非常に忠実に働きます。だから、ちょっとやそっとじゃ辞めないんですよ。ちゃんと向き合わなければならないのでめんどくさいし、体調の波が大きいのでコストがかかるかもしれないんですが、長い目でみてほしいですね。

 

―HSPの方が会社の中で生きづらさを感じないよう、会社側も丁寧に向き合って、その人のことを理解していく姿勢を持つことが大事ですね。

 

HSPは他人には見抜きにくいのですが、もし、会社の中に「HSPでは?」と思われる人がいて、本人が気づいていないときは「HSPって知ってる?」とこっそり教えてあげるといいかもしれないですね。

これから日本も高齢化社会に入るので、どんな人材でも働ける方はできるだけ有効活用したいじゃないですか。最近は働き方改革も始まって、難しいことはいろいろあると思いますが、「根拠を示す」「丁寧に向き合う」という付き合い方をおさえていただければ、HSPの人は簡単にはやめないし、ものすごく戦力になりますよ。

ただ、HSPの中でもHSS型と呼ばれるものがあって、いわゆるHSPなんだけれども、アクティブな人をさすのですが、この場合は周囲がHSS型HSPなんだと、なかなか見抜けないんですよね。

 

身近なところにもいるかもしれないHSP。4つの特徴とは?

―HSSもHSPも聞きなれない言葉ですが、HSS型HSPって何ですか?

HSSもHSPも脳神経に起因する気質で、生理現象のようなものだから、抽象的で定義がしにくいんですよ。この気質がどういうふうに性格に表れるかは人それぞれ。だからぱっと見ても「あ、この人はHSPだな」とはわからないんですね。でも、そのHSPの本人しかわからない感覚の特徴は4つ挙げられます。

 

―そもそも、HSPにはどんな特徴があるのか、教えてもらえますか。

 

1つめは、処理の深さ。良く言えばじっくり考え抜く、洞察力が利く。悪く言えば考えすぎなのがこのタイプです。テーマはポジティブだろうがネガティブだろうが関係ありません。ポジティブになると、ひといちばい前向きにものごとに取り組めるし、いったん悲観的になると果てしなくリスクとかだめなことしか見ない、とどちらかに転ぶ傾向がありますね。

2つめは、神経が過剰に興奮しやすいこと。特に、集中して何かをしているときに、予期せぬちょっとした音や光、揺れで死ぬほどびっくりするんです。おそらく、全神経を自分の内側に向けていて、外に対してはノーガードの状態になっているからだと思います。単発的にどかんとくる刺激にも弱いんですけど、継続的にじわじわくる刺激もいやがります。たとえば、ずっと話しかけられていたりすると、ゲッソリ疲れたり、イライラしてしまうんですね。

3つめは、喜怒哀楽の感情反応が強いことです。感情を表に出す人も出さない人もいますが、感情を表に出さない人も、心の中では感情が高ぶっていることが多いですね。また、共感力が高いのもHSPの特徴です。だいたい日本人は他人の様子を察するようにできているんですが、HSPの場合、脳のつくりの関係でその度合いが強いんですね。他人の顔色だけでなく、体温やすれちがったときの風圧の強さまですべて感じています。

4つめはささいなことにすぐ気がつくことです。HSPの人は脳の中で目に飛び込んでくる情報をすべてまんべんなく処理してるから、洋服の柄とか、覚えてなくてもいいこともいちいち見てしまうんですよ。なので、本当に疲れてしまって動けなくなるんです。

 

―確かに、お話を聞いていると「相当大変なんだろうな」と想像できます。そんなHSPの中でも、HSS型にはどのような特徴があるのですか?

 

刺激的なことが大好きで好奇心が強いのに、すごく繊細なことです。だから、バンジージャンプやスカイダイビングやホラー映画が好きだったり、新しいお店ができるとすぐ行きたくなったりします。でも、繊細で疲れやすいから、行くと人の多さにげっそりして帰ってくるんですよね(笑)。

 

HSS型HSPの当事者として生きてきた半生を振り返る

―みさきじゅりさんご自身も、HSS型HSPの当事者でいらっしゃるんですよね。

はい。私自身、HSS型HSPの人間として生きてきました。昔は外資系の会社で携帯電話の基地局の営業をしていて、海外のキャリア会社との国際会議にも参加させていただいたり、とても楽しかったし、やりがいを感じていました。

でも、子どもの頃から活発で人前に出るのも大好きなのにもかかわらず、一方でいきなり具合が悪くなって、一日中布団から出たくなくなるんです。社会人になっても、週末になるとどっと疲れてしまって、週末3日間くらい寝ていると月曜日にはどうにか出勤できるようにはなるんですが、HSS型HSPで神経が興奮しやすいので、出社すると疲れているのに身体の中でスイッチが入って動けてしまうんですね。そして、週末になるとまた寝込む。

そのギャップがどうして発生するのか自分でもわからず、ずっと苦しんでいました。これだけ「絶対何かがおかしい」と思っているのに、精神科に行っても人間ドックに行っても「異常なし」と言われるんですよ。

 

―「異常なし」と言われるのは、当時はまだまだHSPが知られていなかったから?

 

そもそも、医療業界にHSPの概念がなかったのだと思います。今でも、「何か診断が下るかもしれない」と思って精神科に行っても、「病気ではない」と言われるくらいです。だから、薬も睡眠導入剤くらいしか出してもらえないんです。こんなに体調のアップダウンが激しくてつらいのに、お医者さんにも理解してもらえないのは余計につらいですね。

 

―みさきさんがHSPであることに気づかれたきっかけは何だったのでしょうか?

 

たまたま本屋さんで、HSS型HSPの概念を提唱しているエレイン・アーロン博士の「ささいなことにすぐ動揺するあなたへ」という本を発見したのがきっかけです。自分もささいなことにすぐ動揺するタイプなので、タイトルがあまりにも衝撃すぎて、思わず買って読みました。でも、今までの人生は「いかに動揺を見せないようにするか」がテーマだったので、自分が敏感・繊細であることを認めたくなくて、本を売ってしまって見なかったことにしたんです。その後10年くらい、そのことを忘れていました。

 

―その10年の間にどんなことがあったのでしょうか?

 

その10年の間に、勤めていた会社を辞めて、アロマセラピーを始めたのですが、結局具合が悪くて開店休業状態でした。その後もやりたいことがわからずアルバイト生活をしていたのですが、その間に結婚・離婚を経て、また会社勤めに戻ったんです。そのときに、キャリアコンサルタントの資格のことを知って、当時人材派遣の会社にいたこともあって、「仕事の役に立つかな」と思って資格を取りました。

その後また体調を崩して半年くらい寝たきりになっていた頃、アップダウンの激しい体調にあわせて働こうと思いましたね。そろそろ50歳に近づいていたこともあって、キャリアコンサルタントの資格とHSPを組み合わせて独立をしようと決めたんです。

 

悩めるHSS・HSPの方へのアドバイス

―みさきさんのように、たとえば全国を飛び回ったりガンガン仕事をしているのに、突然疲れてしまい、誰にも会いたくなくなって困っている、という方も実は少なくないのではないかと思います。

HSS型HSPの方って、気持ちが上がっているときは、アクセルを思いっきり踏んでガーっといけるんです。でも、たぶん「この後具合が悪くなるんだろうな」と自分でわかっているので、アクセルとブレーキを同時に踏んでいる感覚があるんですね。

気分の乗っているときと落ちるときは交互に来るんですけど、自分でもそのサイクルがわかっていると思うので、「自分の人生は波乗り人生なんだ」と割り切っていんですよ。

 

―みさきさんご自身は、どう「波乗り」をして来られたんですか?

 

「上がったら落ちる」ってわかっているので、一度落ちたらとことん落ちます。そして、次の波が来るまでじーっと何年でも待ちます。もうこれしかない。気持ちは焦っちゃうんですけど、途中ではい上がろうとしてはだめ。やらなきゃいけないことがあっても、予定を全部キャンセルしてでも止まらないといけないんですよ。そうしないと身体がまいっちゃうので。

そのかわり、波が来たらパパパっとシンクロニシティが起きるので、そのときにガッと動く感じです。待ってるときは私もイヤなんですけど、年齢を重ねてきたこともあって慣れてきたので、もう波に逆らおうとしなくなってしまいました。

 

―でも、約束を守ることって人間関係のベースになっているじゃないですか。調子のいい時はそれができても、調子の悪いときはできなくなって人間関係に支障をきたしてしまいそうです。そのへんはどう折り合いをつければいいのでしょうか?

 

「また疲れてるんだね、もう無理だね」と自分で自分のペースを許してあげられるようになることが多分一番大事だと思うんですよね。自分では気づきにくいんですけど、ハードルを高くしているのであれば、低くするとか。予定をたくさん詰めすぎないとか。私も、お約束が守れないときに相手も期待を裏切ってしまいかねないので、そこはすごく注意してます。だから、稼働日もだいぶ減らしています。

 

―気分の乗っているときと乗っていないときの差が激しいHSS型HSPの方は、どうキャリア形成をしていけばいいのでしょうか。

 

HSS型でもHSPだけの人もそうですが、周りに合わせるっていうのはあきらめたほうがいいですね。私は、いわゆる企業の中でのキャリアを無理強いしていません。起業したいっていう人に対しては、どういうマインドで起業に向けて準備をしたらいいか、マインドの話をすることが多いです。

一方で、サラリーマンが向いてる人もいるので、そういう人には「転職してもいいように、専門性を高めてね」っていう話をするんですね。ある程度人間関係も環境も選ばなきゃいけないので、「有給の取りやすいところとか、職場環境のいいところに行けるような人材になって」と言っています。あとは「時給を高めるように」とか。

 

―それはすごく正攻法だと思います。

 

私、サラリーマンでも独立してもどちらでもいいから、HSPの人には自分の力で食べていけるようになってほしいんです。一度引きこもりになってしまうと、自分に自信がなくなってニートになって何もできなくなってしまうので。

あと、体調の底辺から少し上くらいをある程度ベンチマークにして、そこが保てたら良しとする。「とりあえず生きてた、ベッドから起き上がれた、歯磨きできたからOK」みたいな感じに思っておくのが一番いいかと思います。ビジネスパートナーとか結婚相手とか、長くお付き合いする人は、そのような自分の最低ラインで生活していても、仲良くやっていけるような方がいいですね。

 

【プロフィール】

みさき じゅり

HSP専門キャリアコンサルタント・カウンセラー・著者。

東京都出身。子どもの頃から活発で人前で話したり歌ったりすることが大好きなのに、突然具合が悪くなることに苦しむ。大手電機メーカー、外資系企業を経て、セラピスト・通訳として独立。その後再び会社勤めを始め、GCDFキャリアカウンセラー、キャリアコンサルタントの資格を取得。50歳でエレイン・アーロン博士の専門家認定プログラムを修了し、日本人で初めてHSP専門家の認定を受ける。その後HSP専門のキャリアコンサルタントとして独立、以後現職。

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