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株式会社アースカラー

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循環型社会の作り方、知ってる?都会生まれの社会起業家が今、岩手県に移住した理由。

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生まれは東京都墨田区、生粋の都会人。そして、二児の父親でもある社会起業家が今、岩手県から日本を変えようとしている。

「インパクトを最大化させるには、まず自分たちでやらないとダメなんです」

そう語るのは、株式会社アースカラー代表取締役 高浜大介氏だ。2018年、家族で岩手県田野畑村に移住。海で釣ったアイナメをおろし、わかめ収穫を手伝い、畑でとれた野菜で切り干し大根を作る。

むらで暮らしながら、むらづくりに挑む高浜氏から、循環型社会づくりのヒントを探った。

株式会社アースカラー代表 高浜大介さん

ポスト団塊ジュニアが見た「地獄絵図」

「良い大学を出て、大企業に就職し、年功序列と終身雇用で生涯安泰」

一昔前の親世代は、我が子の幸せを願い、子どもたちに画一的な人生を望んだ。高浜氏自身「良い大学を出て、大企業に就職」という経歴を持つ。しかし、高浜氏が中学の頃に、バブルは崩壊。働き盛りの「ポスト団塊ジュニア」たちは、混迷の時代に遭遇する。それは、高浜氏も例外ではなかった。

東証一部上場企業から、人材育成コンサルティング企業に転職した高浜氏は、農業関連のNPO法人と関わるようになる。そこで直面したのが、都市と農村が抱える深刻な問題だった。

(日本の豊かな森林の画像 by pixabay)

日本の国土の約7割が、森林からできている。その森林率は、先進国で第3位を誇る。世界に類を見ない肥沃な国土、豊かな自然資源が、日本にはある。しかし、地方農村は、雇用不足による「負のスパイラル」に苦しんでいた。

その一方で、都市は地方からの人口流入が増加、失業率は上昇した。都市には「機械」のように効率を求められ、心身ともに疲弊しているビジネスパーソンが多く存在していた。

地方の衰退、そして、都市への人口集中。それは「大量生産・大量消費社会」を生み出し、確実に地球環境を破壊していた。

 

受け継がれていくアースカラーの哲学

転職から4年経った2009年頃、日本に「社会起業家ブーム」が訪れる。高浜氏は企業主催のソーシャルスタートアップの支援プログラムに応募。その際に掲げたテーマが「アースカラー」だった。

「ホワイトカラーでもブルーカラーでもない、地球と共生する職業人“アースカラー”人材の育成・輩出をする」

高浜氏の真っ直ぐな想いは、審査員の心を揺さぶる。そして2010年7月、高浜氏はプログラムの支援を受け「株式会社アースカラー」を設立。その一事業として「地球のしごと大學」をスタートさせた。2016年には、日本自動ドア株式会社と協働で始めた「自伐型林業プログラム」が成功をおさめ、2018年にNPO法人として独立させる。

近日公開予定!

NPO法人「地球のしごと大學」は、持続可能な地球を創る「働き方」の学び舎として、社会問題に敏感な人々から注目を集めている。実は「地球のしごと大學」のスタッフはすべて、プログラム卒業生から構成されているのだ。また、アースカラーにも5名の卒業生が在籍し、高浜氏の想いを受け継いだ職業人たちが活躍している。

 

「ウチ」も「ソト」もヒトツヅキ。

仕事仲間は拡張家族のようなものですね。一緒に仕事をやっていくほど濃密になって、家族的になっていく。地球のしごと大學もアースカラーも、ほとんどがプログラム卒業生です。「社会をどうしたいか」という共感から入っていることも、大きいですね」

インタビューの最中、高浜氏はスタッフの名前を「◯◯さん」と敬称をつけて、親しみを込めて呼ぶ。

「新卒で働きに出てから、ずっと違和感があったんです。自社の人を呼ぶ時「弊社のサトウは……」と呼び捨てにするじゃないですか。そういう「ウチ」と「ソト」を切り分けるやり方が、しっくりこなかった。だから、社外の方と打ち合わせをしても、普通に「タナカシンゴさん」と呼んでいます。外と接するときだけ慣れない呼び捨てにするのは気持ち悪いんですよね。仕事仲間は誰一人自分の所有物ではないし、等しく尊重したいですね」

アースカラーの社員 田中新吾さん

「ウチ」と「ソト」という概念は、高浜氏に存在しない。すべては「一続き」なのだ。

「たまたま役割分担がされていて、それが組織のソトかウチになっているだけ。目的とか志の部分が同じであれば、関係ないと思うんです。法人やNPOもあるなかで、アメーバ的にくっついたり、離れたりしているけど、一緒に目的達成を目指していることに変わりはありません」

地球のしごと大學集合写真

高浜氏は、どこに所属するかよりも、同志であることに重きを置く。それは、お客様との関係性にも通ずる。

 

ビジョナリーだからこその成果主義

「仕事をするときは「それをやることで達成する社会の変化」に意義を感じるから、やることがほとんど。そこに納得した上でないと、やる意味がないと思っています。だから、毎回お客様と仕事をするときも「一緒に成果を出すために、どうすればいいか」を本気で考えています」

高い志を掲げながらも「成果こそ大事だ」と高浜氏は述べる。

「特に最近の自治体案件だと、丁寧に手続きを踏んで、立派な報告書を作っても、結果何も生まれていない場合が多い(注:丁寧な手続きと立派な報告書を否定しているわけではありません。成果のほうが重視されるべきという意です)。お金を頂いて、決められた期間、任された部分の仕事をする。でも、社会変化に繋がる生きた成果が出せていない……そういう仕事はやりたくない。日本自動ドアさんとの仕事もそうですが「社会の変化」のために生きた成果は必須なんです」

自伐型林業プログラム

これまで高浜氏は「人材育成・輩出」において、多くの成果を生み出してきた。なぜ、そこまで「人材」にこだわるのだろうか。

 

岩手の僻地から挑む「むらづくり」

「ペットボトル削減やエコバッグとか、地球環境のためにできることが、いろいろあると思います。ただ、消費活動とか暮らしとか、もっと自分たちの足元から変わらないといけない。インパクトが大きいのが「仕事の有り様」です。今の仕事自体がサスティナブルじゃない。やりがいがあり、かつ資源循環型の仕事を増やすことが、地球環境の改善につながると思って取り組んでいます」

高浜氏の取り組みは、アースカラーな人材育成・輩出にとどまらない。

「去年、岩手県に移住して、田野畑村と合弁で一般社団法人「燈(ともしび)」を立ち上げました。今はそこで「持続可能なむらづくり」に挑戦しています。自分自身が過疎地に飛び込んで、プレイヤーを増やして、模範となる地域を創らないと、アースカラーも地球のしごと大學も、この先の発展がないと思っています」

高浜氏は今、持続可能で具体的なアースカラーモデルをつくるための岐路に立っている。

みんなで田植え はいチーズ!

「これまで自分自身、東京に位置づいたまま、起業支援や人材を送り出す側になっていました。でも、それは最終目的じゃない。結局、インパクトを最大化させるには、自分たちでやらないとダメなんです」

二人の子どもと妻と田野畑村で生活する高浜氏。未来のステークホルダーである「子どもたち」に対して、どのような責任感を抱いているのだろうか。

 

持続可能社会のヒントは「なりたち」の中に。

「今、日本には沢山のモノが溢れています。でも、それが何から出来ていて、どういう手間がかかっているのか、ほとんどの現代人は知りません。実際に山で講習をすると、普通に働いている人にとっては、知らないことばかりです。それは、効率や機能を求めて、大事な教養である「衣食住のなりたち」を隠してきたからです」

高浜氏は、仕事を通じて「なりたち」を学べることに、自分が一番恩恵を受けていると語る。自発的に学ばなければ「なりたち」を知る機会がなくなってしまった現代。効率性の「ブラックボックス」に仕舞われた教えを、高浜氏は再分配しようとしている。

「とにかく、山のことを多くの人に知ってもらいたいんです。日本自動ドアさんとは、自伐型林業プログラム以外にも、伝統工法で山小屋をつくる講習も行っています。今、埼玉県飯能市の山に、小屋がバンバン立っている。そこから実は、かなり沢山のことが学べるんです。ぜひ、日本自動ドアさんに現場を開放してもらって、視察を受け入れたいですね」

山から学べることはたくさんありそうだ

衣食住のなりたちは、ただの消費者として生きるなら知らなくても生きていける。しかし、子供や孫、私たちより後の世代は生き続けることはできない。私たちが住む地球の資源は、間違いなく有限だからだ。

「なりたちを学ぶ大切さに共感してもらえた人たちと、自然とプロジェクトが始まってきました。それをやっていくことが未来に対しての、子どもたちに対しての責任だと感じています。僕にとっては、事業そのものが責任なんです」

住まいは岩手県田野畑村。もちろん生粋の地球人。高浜氏は今同志とともに、子どもたちへ「豊かな地球」を残そうとしている。

子どもたちと共に未来へ

 

 

<プロフィール>

高浜大介

株式会社アースカラー 代表取締役 

立教大学観光学部卒。大手国際物流企業、人事・教育ベンチャー企業勤務後、2010年に、地球・大地に根ざした職業人「アースカラー」の育成・輩出を手掛ける株式会社アースカラーを設立。2018年12月に「地球のしごと大學」をアースカラーから独立させ、NPO法人地球のしごと大學設立。

<企業概要>

株式会社アースカラー

http://earthcolor.org/

〒130-0024 東京都墨田区菊川2-5-16

設立:2010年7月

NPO法人地球のしごと大學

https://chikyunoshigoto.com/

〒101-0054 東京都千代田区神田錦町3-21-1042

設立:2018年12月19日

 

一般社団法人燈

https://tomo-shibi.org/ 

設立:2020年2月27日

〒028-8407

岩手県下閉伊郡田野畑村菅窪205-4

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WRITER
つやま りか
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1989年台湾生まれ、横浜育ち。神奈川大学経営学部出身。卒業後は採用コンサルティング会社に所属。経営者のドキュメンタリー映像の取材・撮影・編集を担当してきた。その後、アニメーション制作の会社に転職。パラパラ漫画の構成作家として、企業や人の想いをストーリー化してきた。退職後はフリーランスとして、ライティングやデザイン、映像制作をしている。現在、まだ知られていないもの、こと、人を収集するブログサイト「みつばちカレンダー」を運営中。3匹の保護猫と犬との暮らしをYoutube「Rica Chang」やinstagram「@unigoma0310」で発信している。