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猪熊真理子×山中哲男 特別対談&交流会

なりたい自分になるために

山中哲男(株式会社トイトマ代表取締役会長)/猪熊真理子(株式会社OMOYA代表取締役社長) /ファシリテーター 鎌田聖菜(Lily)

「自分らしく生きたい人が集まる場所」、Lilyが初めて主催したイベントが2019年8月29日に都内で行われました。今回は山中哲男(株式会社トイトマ代表取締役会長)さんと猪熊真理子(株式会社OMOYA代表取締役社長)さんという、第一線で活躍しているお二人をゲストにお迎えし、二人の経歴や考え方、どういうステップアップをしてきたのかをお伺いしました。今、一歩目を踏み出したいと考えている人たちに新しい価値観を、そして思考のアップデートをしてもらいたい、というのが今回のコンセプトです。

なりたいものが無かった子供時代

鎌田 今回はお忙しい中、ありがとうございます。まず、お二人がどういったプロセスで今まで歩んでこられたのかをお伺いします。

山中 猪熊さんとは1、2年ほど前からプロジェクトの相談をしたりしてよく話すようになりましたね。

猪熊 それなのにいつも仕事の話ばかりなので、実はお互いのことをよく知らない(笑)。今回はこういう機会を作って頂きましたので、是非、将来こうなりたいとか、小さい頃はこんな子供だった、という話がしたいですね。山中さんはどういう子供時代だったのですか?

山中 近所の子供達を集めて今日は何をして遊ぼうか、とか「〇〇君たちはあっちの公園でサッカー、〇〇ちゃんたちはそっちの公園で缶蹴り」と仕切るのが好きでした。そういう子供だったので、近所のお母さんから「ウチの子も中に入れて遊んであげて」と頼まれるくらいでした。

猪熊 山中さん、今と同じようなことをしていますね。プロジェクトチームを作って仕切りながら人に仕事を任せている(笑)。私は小さい頃、自分にすごく自信が無い子供でした。小学生の時はいつも「人はなぜ生きるのだろう」と悶々と悩んでいました。また女性は共感してくれると思うのですが、小さい時は周りと自分を比較しがちで「あの子のほうが可愛い服を着ている」と考えてしまう。そして自分には何の価値も無いような気になって焦ってしまう。

あと習い事を週に8つくらいしていました。バレエ、水泳、英語、ピアノ……。本当はやりたくないのに親や先生の期待に応えたくてがんばって、それなのにできなくていっぱいいっぱいになっている。そんな子供時代でした。

山中 自分は勉強ができませんでした(笑)。外で遊ぶのが大好きで、親からせめて成績をアヒル(5段階評価の2の2という数字がアヒルに似ているので)にしてくれと言われていました。

 

鎌田 その頃の夢は何だったのでしょう?

山中 夢が無かったですね。先生に将来の夢を訊かれた時に、何も出てこなかった。周りの友達のマネをして野球選手とか答えていました。目の前の遊びが楽しくて現実を見ていなかったのかもしれませんね。

猪熊 小さい頃はずっとバレエをやっていたので、バレリーナを目指していました。しかし中学生になってバレエコンクールに出場すると、足の長さや才能など、自分より遥かに凄い人がいるのに気づいて、自分はプロにはなれないんだろうな、と思うようになりました。その後高校生になってからは「心理学を学びたい」と思い、臨床心理士を目指すようになりました。

鎌田 私も臨床心理士なのですが、心理学を選んだきっかけは何だったのでしょう?

猪熊 高校生の時、部活や受験勉強に打ち込みすぎて自律神経のバランスが崩れしまったことがありました。もっと頑張れと頭は言っているのに、心がブレーキをかけてくれた。そういう体験があったので心って面白い、と思うようになった。ちょうど進学の時期でもあったので、大学で心理学を選択しました。そのタイミングで気づいていなかったら、私も自分が何になりたいのか分からなかったでしょうね。

 

自分らしさは一言で表せない

鎌田 今日のテーマが「なりたい自分になる」ということなのですが、なりたい自分というを明確に描く、というのは難しいことではないでしょうか。

山中 難しいね。

猪熊 そもそも夢は変わっていくものだと思います。それなのに日本人は真面目なんでしょうか、一度決めたら変えてはいけない、と思ってしまう。そんなことはない。変わっていくのが正しいのだと思います。また、子供に「将来何になりたい?」と職業を聞くのもよくない。

今ある職業が将来あるかどうかわからないし、むしろ「どういう人になりたい?」と聞いてあげてほしい。私は小さい時から気持ちが分かる人になりたい、と思っていました。それが心理学の道を選ぶことになり、そして今の仕事へと繋がっていると思います。

山中 私は足が速かったので陸上部にいました。学校では速かったですが大会にでると特別速いというほどのものでもなかった。どちらかというと自分ではなくて、陸上部の皆が速くなるということが嬉しかった。中学・高校と陸上部でキャプテンだったのですが、そういう思いでいたので、先生が用意した練習メニューに納得がいかないと先生に意見したりしていました。

 先生が用意したメニューは別の学校で使われていたのをそのまま持ってきたもので、他で効果があったものがここでも役に立つのか?と、納得いかなかった。人それぞれに個性があって強み・弱みがある。それに適した練習をするべきで、全員が一緒の、それも効果も分からないような練習をするという理不尽さに我慢できなかった。

 

猪熊 それがよく山中さんが言っている「問い」と「間」に繋がっている。

山中 そうですね。自分が関心あるものでないと「問い」は生まれません。関心があるからもっとコミットしたくなるし探求もしたくなる。そう思ってないことをゴールにすると中途半端な結果になってしまいますね。だから自分が感じた「モヤモヤ」を「問い」にしてドンドン人に聴くようにしています。

猪熊 自分らしさは一言では言い表せないものです。人はものすごく多面的で複合的な要素を持っていて、それが緩やかに変動している。一言で表現できたとしてもそれは一部分でしかない。山中さんは自分に生まれたモヤモヤした思いを「問い」にしていますが、それが彼の今の仕事に繋がっているところがあると思います。

私は女性支援もしていますが、自分がまだ分からない・自分に自信の無い女性は小さい頃の家庭環境に原因がある。それはいじめや虐待だけではありません。例えば親から愛されていてもその愛し方が「言わなくても分かるだろう」というタイプで、逆に子供は言葉で言われないと分からないタイプだったら、その子はずっと「自分は愛されていない」と感じて育ってしまう。成長したらそのことを客観的に見られるかも知れませんが、人は自分をなかなかそう見ることはできない。

ですから、他者から教えられることによって受け取り方を変えることが大事になる。そうすることで経験した事実は変わらないのに、それがどういう意味を持っていたのかという意味づけを変えることができるからです。

 自分らしさ、というのは自分にとっては当たり前すぎている。友達などにフィードバックしてもらえないとなかなか気づかないものなのだと思います。

 

お互いに尊重し、問題に立ち入りすぎないことが幸せになる

鎌田 自分では当たり前と思っていることが実は強みだったり、周囲から見ると凄いことなのに自分では分かっていなかった、ということは多いかもしれません。

猪熊 人に言われたことを社交辞令だと思ったり謙遜してしまったりせず、何でも言われたことをまず受け入れてみることは大事です。そうしないと、いつまでも自信のない自分から脱することができない。

山中 人に言われたことは良いことだけではなく悪いことでも、まず受け入れてみるって大事だよね。

猪熊 もしそこで自分の心に引っかかることがあったら、それが自分のどんな経験によるものなのか、書き出しておくことも大事ですね。書き出して記録しておくとそれを客観的に見ることができるようになる。

山中 自分は嫌なこと、やりたくないことを書き出しています。やりたくないことをやるとモチベーションが下がってしまう。アメリカで会社を作った時に、クライアントの大企業にいいように利用されていた時期があったのですが、そういうところと付き合っているとすごいストレスになりパフォーマンスも下がる。

だからまず、こういう人とは付き合わない、こういう仕事はしないという先に決めてしまって、そういうのが来たらスルーするようにしています。そうすると80%くらいのパフォーマンスで仕事をすることができる。

 

猪熊 山中さんは「人のために」という思いが強く、それが同時に弱みになってしまうことがある。嫌なことをお願いされて、それを断れないと自分が苦しくなってしまう。共感力という言葉がありますが、それが非常に高い。

私もそうなのですが人と接触する中では「それはあなたの問題であって私の問題ではない」ということを強く自覚しておかないとネガティブな方向に持っていかれてしまうことがあります。その人は可哀想な人だし役に立ちたいと思うけれどもそれはその人の問題だ、と割り切らないとならない。

鎌田 こちらがアドバイスを差し上げた人が、アドバイス通りにしたのに結果上手くいかなかったいと、逆にこちらが落ち込んでしまう、ということがあります。ただ、それは相手が選択したことであって自分がどうにかして差し上げよう、というのはエゴなのですね。

猪熊 その人が自由意思で決めたことは尊重することだと思っています。自分としては相手にできる限りのことをしますが、それを受け入れるかどうかはその人の自由ですし、お互いに人としてそれを尊重することがベストだと思っています。そういう態度で見ることでお互い幸せになれる。

 

質疑応答

質問 「なりたい自分」はどうしたら見えてきますか?

 

山中 「知っているのだけど、自分はこれじゃないな」と思っていたことが案外「なりたい自分」に近いことがあります。自分は20代の時は仕事ばかりしていて、経営者として将来どうなりたいか、と尋ねられても「無いです」と応えていました。それが最近になって身の回りの人が幸せになる状況を作りたい、と願っていることにやっと気付きました。

自分の周囲の人が将来どういう環境で暮らして欲しいか、ということをよく考えています。やはり、当たり前すぎて気づかなかった(笑)。「なりたい自分」というのも身近すぎてスルーしているのかもしれません。

猪熊 目標設定には「山登り型」と「川下り型」があります。目標とそこまでのルートをしっかり決めてコツコツ登っていく「山登り型」と違い、「川下り型」はある程度方向を決めたら、あとは流れに任せてそちらに向かっていく。そこへの行き方は考えていないけれど、結果としてそっちに行くことだけは決めている、というタイプです。

女性にはこちらのタイプが多いと思いますが、私は自分が何を大事にしたいかというのをいつも自分に問いかけて「その大事なものを大事にするために」という目標に向かって、何が今の自分に必要なのか、それだけを考えています。だからすごい「川下り型」です。

山中 猪熊さんはすごく良い意味で抽象度が高いよね。

猪熊 そうですね。

鎌田 そういうのをハッキリさせてしまうと宇宙飛行士!とか女優!とかみたいに職業名になってしまう。だからもっと大きな「人をどう幸せにできるのか」とか考えるほうが良いのかもしれません。

 

山中 あり方論に近いのかも知れない。

猪熊 人間って面白くて、白黒ハッキリつけたい人とそうでない人がいる。抽象度の高い目標設定は白黒ハッキリつけたい人にはフラストレーションが溜まることかもしれません。「なりたい自分」が明確に決まっていない自分が気持ち悪くなってしまう。

しかし、そういう人はやりたいと思っていることを全部行動に移してみればいい。将来にどう繋がるのかとか考えず、とにかくやってみる。そうやっているうちに振り返った時にワダチが出来ていて、それが「なりたい自分」になっている。

質問 仕事をする上で一番大切に思っていることは何ですか?

山中 チームプレイでやることが多いので、プロジェクトの関わることで彼らがどれだけパフォーマンスを高められるか、ということを常に意識しながらやっています。まずは最初は徹底的に関係構築を意識しながら時間を過ごします。時間を共有しながら今もっている仕事量や仕事へのスタンスなどを理解します。

オーバーワークになってパフォーマンスが下がってしまうかもしれないと思った時は、やりたい気持ちがあってもやらないこともある。仕事は結局は人と人。コミュニケーションを取り合って伸び伸びとパフォーマンスができることが重要ですね。

猪熊 お互いに有益な関係であること、自分の利益だけでお願いすることがないように意識しています。「社会構成主義」という考え方がありますが「社会は人と人との関係性の中で作られている、自分は自分が作り出しているのではなく周囲との関係性の中で作られている」という考え方です。自分がやりたいと思っていることも何か外からの影響なのかもしれない、と考えた時、私は人として誠実でありたい・何かしら良い影響を与える人間でいたい、と考えて仕事をしています。

 

質問 人生の分岐点だったことは?

山中 たくさんあるのですが、最も大きかったのは母の死です。アメリカでバリバリ仕事をしていた時期だったのですが、久しぶりに帰省した時に母が倒れた。脳腫瘍でした。手術後は記憶障害が残って、24時間介護が必要になりました。それまで3年間、休みなしで寝る間も惜しんで働いていたのですが、母の様子を見てスパンとその気持ちが切れてしまった。

倒れてから半年後に母は亡くなるのですが、それまで父と12時間交代でずっと母を看ていた。その時に、自分がこれからどういうことをやっていこう、とか人との接し方とかが一気に開けたんです。それまで目が見えていなかったのか、と思うくらいに。母が死んで悲しいけれども、それがメッセージだったのだと思います。

 

猪熊 私は妹の死でした。小さい時に妹が亡くなったのですが、なぜ妹だったのか・なぜ私だけが生きられるのかが分からなかった。それを考え続けていると絶望のブラックホールに落ち込んでいく。世界中が理不尽だと思うようになる。中学生くらいの時は毎日お祈りをして眠っていました。明日起きたら妹を返してください、そのためには私の命をあげますからと……。そう思って泣きながら寝るのですが、翌朝自分は死んでいないし妹が生き返ってもいない。そういう世界で自分は生きている、と。

人は孤独になるとすごく弱くなります。誰も助けてくれない、誰にも相談ができない状態になると、何の光も射さない独りの世界で生き続けることになる。

しかしある時、自分が幸せになることを考えたほうが妹は嬉しいんじゃないか、と思う瞬間があった。

 妹が生きられなかったこの世界は別に楽しいことなかりではない。逆に辛いことを感じなくてよかったかもしれない。だったら私を通して楽しい時だけ一緒に感じて欲しい、と思ったら、妹への想いが昇華されたんです。

 

 今、私は女性支援をしていますが、彼女たちが抱えている悩みや苦しみは、私が経験してきたこととも重なります。だから、あなたたちの抱えている孤独は繋がることができる・共有することができる。あなたも孤独だし私も孤独だけど、それを分かることで光を満たすことになる、と伝えています。

 

山中 私たちの周りには死生観とか、そういうところに向き合っている人が圧倒的に多いと感じます。自分の憧れる人の死生観を知ることは転機になる。

猪熊 自分にある枯渇・何か足りないという感じをより深めて、なぜ生きるのか・どういう時に幸せを感じるかというところまで考えていく。それは大切な人を亡くすとか病気になったり怪我をしたりということでも気づくことがあるのですが、そういう機会がなくても考えられたらいいですね。どこまで深いところまで「なりたい自分」を追求できるか。それを常に考えているといいかもしれません。

 

山中哲男

株式会社トイトマ代表取締役会長 /ヒューマンライフコード社外取締役

大手電機メーカーに就職後、自ら多くの実務を経験できることから飲食店を開業することを決意し起業。2007年、米国ハワイ州にてコンサルティング会社を設立しCEOに就任。日本企業の海外進出支援、M&A仲介、事業開発支援を行う。有名店から東証一部上場企業まで多数の支援を実施。約5年後、全ての株式を売却。2008年、株式会社インプレス(現:トイトマ)を設立し、代表取締役会長に就任。ビジョンや想いに共感し、経済合理性だけを追及するのではなく社会的な価値を見いだす事業に絞り込み、既存事業の事業戦略策定や実行アドバイス、新規事業開発支援やプロジェクト開発支援、イントレプレナー育成を中心に活動中。国土交通省が行う公的不動産活性化プロジェクトを率いるなど行政プロジェクトも多数手がける。2018年3月、株式会社トイトマ代表取締役会長に就任。

官×官、官×民の組織をこえた活動を推進する官民連携推進Lab主宰。

2015ワールド・アライアンス・フォーラム事務局長。国際U3A(AIUTA)及びアジア・太平洋地区合同会議2016実行委員。

著書:「あったらいいな」を実現するビジネスのつくり方顧客に求められる圧倒的価値の創造メソッド(星雲社)

猪熊真理子

OMOYA Inc.代表取締役社長 /女子未来大学ファウンダー /全日本伝統文化後継者育成支援協会委員

at Will Work理事 ・/東京女子大学文理学部心理学科に進学し認定心理士の資格を取得。

2007年(株)リクルートに入社。「ゼクシィ」や「HotPepper Beauty」などの事業で事業戦略、ブランドプロモーション戦略、マーケティングなどに携わる。会社員の傍ら「女性が豊かに自由に生きていくこと」をコンセプトに、講演やイベント、セミナーなどで女性支援の活動を行う。2014年2月にリクルートを退職し、3月に株式会社OMOYAを設立。主に女性消費を得意とした、経営・ブランドコンサルティングや企画マーケティング、組織のダイバーシティ・マネジメント改革、企業内の女性活躍推進などを行う。経済産業省「平成28年度地域創業促進支援研修」講師、「平成28年度中国地域中小企業・人材コーディネート事業」ダイバーシティ経営セミナー・ファシリテーターなどを歴任。

著書:「私らしさ」のつくりかた(サンクチュアリ出版)

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