/【学生取材レポート~未来のステークホルダーへ】株式会社コーセー

【学生取材レポート~未来のステークホルダーへ】株式会社コーセー

文:中村優花

取材先:株式会社コーセー 人事部 課長 小坂竜也様、経営企画部 広報室 潮田繭子様

業界:化粧品

株式会社コーセーは、「美しい知恵 人へ、地球へ。」というコーポレートメッセージを掲げています。この中には「美の創造企業として、美にまつわるあらゆる知恵を出し合い、人々のために、そして大切な地球の未来のために、役立てていこう」という企業姿勢が表されています。この度、日本を代表する化粧品メーカーの一つである同社に、会社の強みや、独自の取り組み、採用したい人材像についてお話を伺いました。 

―化粧品業界の中での御社の強みや、強みを生かした今後の方向性をお聞かせください

「当社の創業は1946年に遡ります。創業者は戦後の混乱の時から、お客さまが本当に求める良い商品の提供にこだわり、その思いが受け継がれてきました。実は、パウダーファンデーションや美容液といった化粧品は、私たちコーセーが世界で初めて生み出した商品カテゴリです。常に世界に先駆けて新しいジャンルを切り開くといった意識で、商品開発に取り組んでおり、“モノづくり”へのエネルギーやポテンシャルは大きいと思います。このような背景もあって当社の社員は、モノづくりに対するこだわりが強く、職人肌というような社員が多いです。研究員も本社の企画職も皆、お客さまが手に取ってくださり、また使ってみたいなと思っていただける化粧品を作りたいという情熱をもって仕事をしています。全てにおいてNo.1というわけではありませんが、“モノづくり”への熱意やこだわりは他社には負けないと考えております。

私達は、“モノづくり”とはつまり、お客さまにとっての価値づくりだと認識しています。消費の潮流が、次第に“モノ”だけでなく“コト”も重視するようになってきました。

当社では、お客さまの多様なニーズにきめ細かく対応するため、多彩な価値観をもつ個性豊かなブランドを、さまざまな販売チャネルを通じてお客さまにご提供していることが特徴です。これらのブランドは、企業名を冠した「コーセーブランド」と、独自性の高い多彩なブランド群である「インディヴィデュアルブランド」の2つに大別して展開しています。

しかし、ただ単に化粧品を作っていけば良いという訳ではありません。コーセーでは、創業70周年を迎えたときに『きれいのその先にあるもの』というメッセージを発信しました。これは、元々私たちが目指しているものを的確に示していると言えます。当初は、きれいや美しさを提供し、女性の悩みを解決するものが化粧品という時代がありました。しかし、現在そして未来は、お客さまがきれいになれることで、“その先”にある、自信や勇気がもてたり、それぞれの夢や期待といった、化粧品の先にある大切なことを叶えるお手伝いができるようになりたいと考えています。こういった化粧品の付加価値を作り出していくことが重要なのです。つまり私たちは、化粧品を通して一人ひとりの人生全体を明るく、幸せにしていくようなモノづくりを目指しているのです。」

 

―御社のブランディングの特徴である「インディビデュアルブランド」について教えて下さい

先ほども少し触れましたが、当社のブランドはお客さまのニーズにきめ細かく対応するために、流通やコミュニケーションの側面からも効果的な戦略を立て、ブランドを構築しています。

商品に企業名を冠した「コーセーブランド」においては、コーセーという企業ブランドによる信頼を感じていただいたり、品質が良い、肌に優しいといった「安心・安全」というイメージをお客さまに持っていただいております。これらをブランド価値の基盤として、ブランドイメージに合致した広告キャラクターを起用しながら、皆さんがそのキャラクターのように美しくなりたい、という女性像をわかりやすく表現していくという展開をしています。

 

一方、企業名を冠していない『インディヴィデュアルブランド』には、百貨店や化粧品の専門店を中心に販売している当社の最高級ブランド『コスメデコルテ』や20代の方にも人気の『JILL STUART』・『ADDICTION』などがあります。これらのブランド群は企業名を敢えて表に出さないことで各ブランドの世界観や特徴を全面に打ち出しています。このブランド群の誕生は、お客さまのニースが“モノ”から“コト”へに変わってくるだろうということを先読みし、お客さまが求める価値づくりをし続けて来た結果のひとつです。こういったことができるのも、店頭で商品を販売する美容スタッフも含めて感受性やトレンドを読み取る力を持った感性が豊かな人が多いからです。

様々なブランドを展開していますが、私たちが一番大切にしていることは、化粧品を通じてお客さまの想いに応えるということなのです」。

 

―最近、企業は株主だけでなく、様々なステークホルダーへ価値提供をすべきということが良く言われますが、御社にとってのステークホルダーはどのようなものがありますか?

 

「ステークホルダーは私たちと関わるすべてと捉えています。化粧品をお届けするための企業活動で関わるすべてのステークホルダー、例えば社員はもちろん、サプライヤー様や販売店様、株主様、そして地域のコミュニティや地球環境との共存共栄を大切にし、それぞれに対話を行っています。ここで言えるのは、近年ではもっと広い概念でステークホルダーを捉えるようになって来ているということです。皆さんご存知かもしれませんが、自然保護活動の一環として、当社を代表するスキンケアブランド『雪肌精』の売上の一部を沖縄のサンゴ育成活動などに寄付するとともに、海の環境保全と啓発活動に取り組む”SAVE the BLUEプロジェクト”が、2018年にお陰様で10年を迎えることができました。皆様のご協力のもと、このような社会貢献活動を続けることで、環境に向き合っていくことをこれからも大切にしていこうと考えております」。

 

―どんな人材が欲しいと考えていますか?

「化粧品業界ということで、仕事内容はキラキラして見えるかと思いますが、実際にはそれを作り出すための地道な仕事がほとんどです。そういった環境でも、女性の方々、そして世の中全体を明るく豊かにしたいという思いを持ち続けられることが大事です。やはり、一度入ったら40年間働き続けて欲しいと考えています。そのためにもまず、会社のいいところとその人らしさがマッチしていることが大切です。“いつの時代でも輝いている人”というのが私たちの求める人材です。個々によって企業のこういう部門でこんな活躍がしたいんだというパーソナリティがそれぞれ違うと思います。それぞれが企業で活躍できる自分の成長ベクトルと企業の成長ベクトルがマッチしている人たちに入って欲しいですね。個人でコーセーをこうしていきたいという思いを持っていただいて、それと自分の成長を重ねていただく。実際に、それがマッチしている人が会社で生き生きと働いているという印象がありますね。

化粧品業界なので女性社員が多いイメージをもたれますが、実際、総合職は、男性のほうが人数が多いです。女性だけ、というような偏りの大きいコミュニティよりも、多様性のある方がバランスよくスムーズに行くことが多く、価値融合がしやすい場が保てると考えています。たとえば、男性は化粧品を使っていないが故に全てを平たく見ることができるという面もあります。ただ、最近は感性を研ぎ澄ませた価値づくりが求められていることもあり、女性採用も増えています。男女に拘らず採用したいと考えています」。

 

―学生へのメッセージをお願いします 

「やはり、結局は自分に合った企業選びというところが大切だと思います。企業が求めている人材像に安易に合わせにいかないということですね。まず、自分で自分を理解して欲しいです。自分がやりたいこと(業務)は40年間のうちのせいぜい何年間の話だから、そんな話ではなくて。どういう風に成長したいのか、どうなりたいのか、ということを思い描くことが就活のゴールだと思います。つまり、何がしたいかを見つけても経験を積むうちに変わってしまうことは多い。だからこそ、どういう社会人になりたいのか、どう成長したいのか。それは、その企業の成長ベクトルの中にあるのかということをまず最優先に考えるべきだと思います。近道は絶対ないのでいっぱい歩いてください」。

 

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外から見ると、一見同じように見える化粧品会社も、それぞれに強い個性があることがわかりました。コーセーでは、“モノづくり”や、“モノ”が引き出していくその先にある価値観の提供といった、“モノ”に対する強い思い入れと価値創造に対する信念を感じました。また、お客様に美を提供する舞台裏となる、現場では地道な努力が積み上げられてブランドが成長しているのだということがよくわかりました。