/【学生取材レポート〜未来のステークホルダーへ〜】JFE商事株式会社

【学生取材レポート〜未来のステークホルダーへ〜】JFE商事株式会社

取材:沙云帆(しゃ ゆんふぁん)、植田晃仁

文:周依琳(しゅう いりん)

取材先:JFE商事株式会社 人事部企画人事室 澤口様、岡本様、中原様

業界:専門商社

 

JFE商事は、1954年に創業し、今や年間約3,000万トンの鉄鋼を生産販売するJFEグループの中で、商社機能を担う企業だ。国内事業所21ヵ所、海外事業所19ヵ国 43ヵ所を持つ、屈指のグローバル企業である。鉄は構造として使用され、塗装されているため表面には見えにくいが、あらゆるインフラや、建造物、船舶、自動車、家電にいたるまで多様な領域において人々の暮らしを支えている。この度、そういった社会の基盤を支える「鉄」を扱う鉄鋼商社の業態や、メーカーとの連携、求める人物像等について話を伺った。

 

 

-商社とは簡単に言うとどのような事業体なのか教えてください

 

「まず商社は大きく分けると扱う商品の範囲によって、総合商社と専門商社の2種類に分かれます。その中で当社は鉄鋼を中心に扱う専門商社に属します。一方、商社を機能として見ると、総合商社も専門商社も、トレーディングと事業投資の2つの事業を行なっています。

トレーディングとは、我々の場合、鉄を作るメーカーから鉄を仕入れて自動車メーカー等鉄が欲しいお客様に販売する事業のことです。事業投資とは、トレーディングをより増加させ、商売の流れがよりスムーズになるよう鉄を切ったりする加工プラントなどに投資を行うことです。よって商社とはこの二つを両輪として事業を行なっている業種と理解すればよいでしょう。」

 

 

-御社はJFEグループを形成されていますが、その中で商社とメーカーの役割分担はどうなっていますか?

 

「メーカーはモノを作る会社であり、それに対して商社は商いをする会社です。つまり安く仕入れて高く売ることが仕事です。作りっぱなしでは、商売はできませんし、利益もありません。そこで、我々は誰がどこで何を欲しいのかという情報を仕入れてきてメーカーと買い手の企業を繋げる役割を果たしています。

 

その繋げ方を分かりやすい例で説明すると、例えば水を100円で仕入れて110円で売るという事と同じことをしているのです。さらには、コーラが欲しい需要家を見つけ、100円で仕入れた水をコーラに加工することで付加価値をつけ、たとえば200円で販売するといったものですね。我々の場合は、コイルセンター(鉄鋼メーカーで製造された鋼=コイルを加工する工場)で加工すること(2次加工、3次加工)で、付加価値をつけています。

もう少し詳しく説明しましょう。鉄のバリューチェーン(付加価値をつけていくビジネスの流れ)には鉱山権益(権益投資)→原料調達(石炭・鉄鉱石)→製造(高炉・電炉・単圧ミル)→加工・流通販売(コイルセンター・部品製造)→最終需要家(家電・自動車メーカーなどのお客様)までの一連の過程があります。

 

当社は鉄鋼の元となる原料を掘るために鉱山の権利を買い、原料を調達し、鉄を作るメーカーに販売しています。そして、メーカーによって作られた鉄を買い、自動車メーカーや家電メーカーに販売することを行なっています。これが、鉄が生まれてから販売されるまでの流れです。

 

商流に目を向けると、鉱山権益や原料調達は川上の商売に当たり、加工し販売するのは川下の商売と言えます。鉄鋼商社の主な事業領域は、加工販売の川下の部分に位置する中、当社は鉄鋼商社の中で唯一、原料調達から加工販売、川上から川下まで鉄のバリューチェーンのすべてで商売を行っています。この事業領域の広さが、JFE商事の特徴であり、強みでもあります。

 

 

-原材料の調達はオーストラリアでのみ行われているのですか。資源が豊富なイメージがあるアフリカ諸国では調達は行われていないのでしょうか?

 

「基本的にはオーストラリア・ブラジル・インドでの調達がメインとなっています。アフリカ諸国では南アフリカ共和国で鉄鉱石が採掘できますが、量ではオーストラリアの9.5%ほどにとどまっています。また、アフリカであまり調達しない要因の一つに、運搬費用が関わっています。全長300〜500メートルの船に何十万トンの鉄の原材料を乗せるため、運送コストがかかってしまうのです。その結果、原材料の調達は現状オーストラリア中心となっています。」

 

 

-そもそも良い鉄とは何なのでしょうか?

 

「一概に何が良い鉄で何が悪い鉄かを定義することは困難です。問題なのは、その鉄が何に使われるのか、用途に合った品質なのかどうかというところです。例えば、車や電車、飛行機などの交通機関に使われる鉄には、頑丈で強度の高い品質が求められます。さらに、強度に加え、表面が綺麗である必要もあります。一方で、工事現場の床に敷かれる鉄や地中に埋め込まれている杭に用いられる鉄は、強度さえ高ければ、綺麗である必要はありません。このようにニーズの差によっても品質の良し悪しが分かれるということになります。」

 

 

-最近、株主だけを見るのではなく、あらゆるステークホルダーを意識して、企業価値を創造することが求められています。ステークホルダーについてどのようにお考えですか?

 

「JFE商事の利害関係者といえばここからここまでという明確な範囲はありませんが、関わっているお客様やお客様の家族等全てが利害関係者と言えます。実際に行なっている活

動としては、ガーナ・ナイジェリアの小学校への机や椅子の寄贈や、台風によって被災したフィリピン・レイテ島への中古衣類の提供、東日本大震災被災地での社員ボランティアが挙げられます。従って、利害関係者になり得る人達は日本国内のみならず、世界単位で事業展開しているため、関係のある人達全てが利害関係者となります。

 

今後は鉄を供給して、その地域のインフラの成長を支え、その都市全体のより良い発展に貢献していくことに焦点を当てていきたいと考えています。さらに、様々な事業にも携わっていくことでステークホルダーも一層増えていきます。」

 

 

-会社はどのような人材像を求めていますか

「JFE商事が掲げているのは ①プロジェクトを行う上で大切な『チームワーク』②何事にも率先して取り組んでいく『チャレンジ精神』③お客様とメーカーのニーズのマッチングを実現させる『粘り強さ』です。

また、商社のビジネスの特徴の一つに、メーカーと需要家との間で板挟みになる事が挙げられます。メーカーは商品を高く売りたい一方で、需要家は少しでも安く買いたい、このように両者の思いにはギャップが存在するためです。そこで、両者の利害を一致させ、相手に寄り添いながら着地点を決める必要があり、チームワーク、チャレンジ精神、粘り強さに加え、「決断力」も必要となります。お互いの意見ばかりを従順に聞き、決断できずにいると取引相手を失うことになりかねないからです。そこで学生を採用するときには、例えば、部活などのリーダー経験があるとすると、どのように決断してリーダーになったのかを聞いています。周りから、押されて成り行きとしてなったのか、将来やりたいことがあって、そのプロセスとして自分で決断して選択したのか、この差は大きいと思います。自分で決断する人がビジネスの着地点を決めることができるので、このような素養は重要なポイントになります。」

 

 

-若手を海外研修に出す人材育成制度についてお聞かせください

 

「現在、JFE商事では若手全員に海外研修を経験させることを目標に掲げています。当社には、海外駐在とは別に海外研修という制度があり、海外トレーニー、海外留学、短期異文化体験のいずれかの形で若手の海外経験を促進しています。海外研修はグローバル人材の育成を目的しており、主に12年目以下の社員を対象としています。

期間で分けると、海外トレーニーと海外留学は原則2年以内、短期異文化留学は3か月以内となっています。

 

海外との取引を行う上で、実際には日本にいるだけではわからないことも多くあるため、現地に行って「現場」を感じることで、多くの課題を見つけることができます。それらの課題を持ち帰ってはじめて、先を見据えた思考を養うことができるのです。また、グローバル化が進む中で、世界中のお客様のニーズに応えられるよう、お客様の母国語を用いて密な関係性を構築することにも尽力しています。

このように、若手の内に海外を経験し、課題に気づくことで知見を広げ、常に成長を続けられる人材になってほしいという思いを持っています。」

 

 

-学生へのアドバイスをお願いします

 

「会社としては具体的な資格や団体での幹部などの経験は特に求めていません。どこに属していたか、何をしていたかはあまり重要ではなくて、なぜそうしていたかが大切です。就職活動のために、対策としてやむを得ず〜をしたといった受身的な行動はあまり評価できません。実際に、様々なことを自ら率先して行うチャレンジ精神のある人が会社内では活躍していることが多いですね。学生にしても、スポーツに励んでいたことに加え、留学に行き知見を深めたり、長期インターンシップにも参加していたりしたことなど、複数のことに精を出す人材は魅力的ですね。」

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JFE商事様に商社の役割と仕事の面白さを伺った。比喩を交えて鉄鋼専門商社の枠を超えた、鉱山権益から販売まで貫徹したバリューチェーンを語って頂き、その軽妙な語りぶりは流石、供給側と需要側の調整で百戦錬磨な商社パーソンと感じた。

取材前はJFEスチールの商品を売る販売代理店の印象が強かったが、顧客に合わせた提案をしていると知り、第一印象より中立的な立場にあるという認識を新たにした。

また人財面では、若手社員を現場に派遣して仕事の目的を明確にすることを大切にしており、モラールの高揚や取引先との密な関係の構築に上手く繋げている。新人社員であっても現場の課題を知りながら活動できるイメージが湧いた。