/オリンピック新種目「3×3」が日本のバスケットをアツくする

オリンピック新種目「3×3」が日本のバスケットをアツくする

ストリートバスケットから生まれた新スポーツ「3×3(スリーバイスリー)」。観客との一体感・気軽に楽しめることが魅力のスポーツだ。日本では世界に先駆けてプロリーグが誕生、日々ハイレベルな戦いが繰り広げられている。そのプロチームの一つ、KOTO PHOENIX.EXE(江東フェニックス ドットエグゼ)の運営会社、株式会社アンサーブの代表取締役大坪孝行に今後の展望を伺った。

 

 

バスケができる環境がない

 

ショッピングモールの一角に設けられたバスケットボールのハーフコート。一つしかないゴールに弾かれたボールの行方に、観客たちの視線が集まる。

コートと観客席の間には、僅かに立て看板が一枚あるのみ。選手と観客たちは同じ目の高さでボールを追いかける。

据え付けられたDJブースから鳴り響く音楽も試合を盛り上げる。最初は静かに観戦していた人々もいつしか拍手や歓声を上げるようになっていた。

「観客と選手の距離が近いので、臨場感と迫力が5人制バスケットとは桁違い。それが3×3の大きな魅力です。」

そう語るのは株式会社アンサーブの大坪孝行代表。起業家・士業支援のコンサルティング会社、株式会社アンサーブの経営をしつつ、3×3バスケットボールのプロチーム、KOTO PHOENIX.EXEを運営している。

 

株式会社アンサーブの大坪孝行代表

 

「私自身、今年で40歳になりますがプロ登録している選手です。バスケは小学校から高校までやっていたのですがそれ以降は長く離れていた。それが今、再び火を点けられてしまった(笑い)」

日本のバスケット競技人口は64万人ほどだといわれているが、その内の56万人、9割近くを高校生以下が占める。しかしそのほとんどが卒業後、バスケットをプレイできていない。バスケットができる環境が周囲に少ないからだ。それが大坪代表には不満だった。

「海外では街中にバスケットのゴールがあって、様々な人が気軽にバスケを楽しんでいる。ストリートバスケというやつです。一昔前までは秋葉原の駅前にゴールが設置してあったのを覚えている方もいると思います。あれも最後は不良のたまり場みたいになってしまって12年程前に再開発と共に無くなってしまいました。」

他にもバスケットが普及しない要因がある。プレイヤーが双方5人、計10人必要だということだ。

「社会人になったり家庭を持ったりすると10人が時間を合わせるのは非常に難しくなる。仕事が終わってから定期的に集まるのが次第にできなくなっていき、そのうちバスケをしなくなってしまう。私もそうしてバスケをしなくなった中に入りますが…」

そんな時に大坪代表が出会ったのが3×3だった。

ストリートバスケットが発祥のこの新しいスポーツは、以前は3on3と呼ばれていた。それがFIBA(国際バスケットボール連盟)によって改めて国際公式ルールが制定され、世界選手権大会が開催、世界ランキングが生まれたのは2012年のことだ。

「日本では2014年にプロリーグ『3×3.EXE PREMIER』が誕生し、2016年には12チーム、2017年には3カンファレンス18チームと順調に拡大、今年2018年には6カンファレンス全36チームで争われる大きなものになりました。私は二年ほど前にその存在を知って昔のバスケ熱が再燃して。プレイヤーとしてコートに立つかたわら、チーム運営にも取り組むまでのめり込んでしまいました(笑い)」

 

少ない投資でプロチームのメインスポンサーになれる

 

3×3に魅了された大坪代表だが、なぜ運営までしたいと考えたのか。

「3×3の大きな特徴は気軽にプレイすることができるということです。5対5のバスケとは違い、コートは半分・ゴールも一つでいい。それに選手も6人で済みますから集まりやすい」

バスケットの競技人口は全世界約4億5千万人と言われ、これは野球・サッカーを上回る。また先述したように日本にも64万人の競技人口があり、彼らが再びバスケットを楽しめる場を用意できるという訴求力は高い。

コートが半分でいいので、試合会場が体育館などに限定されないことも大きなポイントだ。

プロリーグ「3×3.EXE PREMIER」の試合会場は、ターミナル駅の駅前の広場や、イオン・ららぽーとなどのショッピングモール。多くの人が気軽に観戦できる場所だ。

「有料席も用意されていますが、基本的には無料で観戦できます。家族でお買い物をしている途中で『あ、何かやってるぞ』と立ち寄ってくれれば、そこでは選手たちのスーパープレイが繰り広げられている。DJやMCが試合を盛り上げてくれるし、インターバルタイムにはチアリーダーのパフォーマンスや観戦者が体験できる様々なイベントも行っているので、詳しいルールを知らなくても充分楽しむことができます」

選手たちも5対5のバスケット(Bリーグ)で活躍していた選手やそちらとの掛け持ちの選手も多数在籍していて、そのレベルは高い。世界ランク上位の選手も多く、海外からも注目を集めている。

「観客と選手の距離が近く、選手に触れることができるくらいです。この臨場感が何よりも3×3の魅力でしょう。この熱気を受けて私みたいに過去にバスケをやっていた人がウズウズしてくる。バスケの普及と活性化に効果は大きいと思います」

またビジネスとしても有望だ、と大坪代表は語る。

「5対5のプロバスケリーグ『Bリーグ』のトップリーグは現在全18チーム。そのチーム運営には年間で3億円から4億円(金額は推定)が必要といわれています。それに対して3×3のチームの運営費は1,000万円以下でプロチームのオーナーになれるという障壁が低いのが魅力です。それでも6月から9月までのシーズン中、ほぼ毎週末開催される試合には2万人からの観客が集まっていて、今後更に活性化すればBリーグの観客を取り込んでいくこともできるでしょう。そうなれば、チームのスポンサーの露出も増して、スポンサーの広告効果も大いに期待できます」

それに私と同じように、心の中に「バスケをやりたい!」という気持ちを隠している人たちに、その場を用意することができる。それは私ができる社会貢献でもあると思っています、と大坪代表は微笑んだ。

 

オリンピックのメダル有力候補

 

大坪代表が運営するKOTO PHOENIX.EXEの選手たちも、様々な経歴を経てここに集まっている。

下田悠介選手は「私は以前Bリーグの選手をしていました。その時、オフシーズンに何かできないかと探していた時に、3×3と出会いました。3×3は5対5のバスケとは異なり、試合時間も動き回る範囲も少ないので、副業をしながらでもカラダ作りがしやすいのが選手としては魅力ですね。お客様はプレイだけでなく、音楽やファッション、パフォーマンスなど見所が多いので楽しみやすいと思います」と語った。

下田悠介選手

 

 

「私も一度はバスケから離れた人間です。大学までバスケをしていたのですが、その後はできる環境が少なくて。その時に人から3×3を紹介された。仕事を持っている人でも3人だと集まりやすいので、働きながらやるには良いスポーツだと思います。一試合は10分間、もしくは21ポイント先取で試合が行われます。ですから運動時間は少ないですが、その分スピーディで迫力のある試合を提供できる。時間が短いと見る方もラクですしね。一度試合に見に来ていただくと、その距離の近さに驚くと思います。『自分にもできるんじゃないか』という親近感が生まれるのはイイですね」と語るのは佐山聖斗選手。

佐山聖斗選手

 

 

大森洋成選手は大学院までバスケットをしていたが、その後一般企業に就職、バスケットからは遠ざかっていた。「就職したのはいいものの、その企業に馴染むことができず、結局退職。ポッカリ空いてしまった時間を、何か熱中したいと思っていたところに出会ったのが3×3バスケでした。これを突き詰めていったら何かが開けると思った。私は5対5の時には3ポイントシュートが得意でしたが、この3×3のルールでは外からのシュートが5人制に比べてロングシュートの得点効率が高い(3×3では普通のゴールは1点、外からのゴールは2点でカウントされる)ので、これが自分の道だと思って力を入れて練習していますので、KOTO PHOENIX.EXEの試合をぜひ見にきて、応援して欲しい」と語った。

大森洋成選手

 

様々な理由でコートを去った選手たちが今、もう一度集まってプレイをしている。今年は更に女子リーグの開設も決まっている。

 

「2020年の東京オリンピックからは3×3バスケが正式種目となります。今の日本の実力ならば、メダルの獲得も夢ではない。これからもっともっとアツく盛り上がっていくスポーツになるでしょう。東京オリンピックの3×3の会場は東京都江東区青海です。オリンピック会場を本拠地にするKOTO PHOENIX.EXEが3×3を盛り上げていけるように様々な取り組みを行っていきます!」という大坪代表の言葉から溢れる熱気には、3×3バスケットが持つこれからの可能性が見えるようだった。

 

 

【KOTO PHOENIX.EXE】

チーム名:KOTO PHOENIX.EXE(江東フェニックス ドット エグゼ)

本拠地 :東京都江東区

運営会社:株式会社アンサーブ

H  P:http://koto-phoenix.com/

 

大坪孝行……1978年生まれ。福岡県福岡市出身。学生の頃に大手法律事務所でアルバイトを行い、法律事務所の特異性に興味を持ち、個人経営の法律事務所に就職。相続・離婚・交通事故・借金問題・労働問題・企業法務を事務員として数百件を担当し、一般的な法律事務全般を経験。更に、法テラスやひまわり基金法律事務所に派遣予定の弁護士の教育係も担当。その後、大手法律事務所に勤務し、所属長として100名超のマネージメントを行いつつ、広告手法やマーケティング理論を学ぶ。その後、コンサルティング会社「株式会社アンサーブ」を設立し、様々なビジネスを展開するとともに、弁護士・税理士などの士業・中小企業経営者・医療関係者より絶大なる信頼を得ている。